調査会社の東京商工リサーチによると、 2018 年の倒産企業の内、 47.7%が直前期の当期利益は黒字だったそうです。また、中小企業庁の調査結果によると、 2013 年から 2015 年の間に廃業した企業の 50.5%が同様に黒字だったと報告されています。 なぜ黒字決算なのに、倒産や廃業に追い込まれるのでしょうか?
■黒字倒産とは?
「黒字倒産」という言葉は聞いたことがあると思いますが、どういうことなのかちゃんと言葉で説明できない人も少なくないのではないでしょうか?
黒字倒産とは、黒字会社が資金繰りで一時的なショートを起こし、支払いや返済に充てる手持ち資金が不足し、経営が継続できなくなり倒産することを言います。手持ち資金が不足し、経営が継続できなくなり倒産することを言います。
運転資金資金が回らなくなるということですね。
運転資金を超える支払額が発生すると資金がショートします。
なぜそのような事が起こるのでしょうか?
■ 掛取引という取引方法
現金商売であればその場ですぐに入金がありますので問題ありませんが、一般的に自社商品・サービスを売り上げた代金の回収は、期日までに後払いで支払う取引方法である「掛取引」が多いと思います。
会計処理上は、商品やサービスを引き渡すタイミングで売上計上しますので、損益計算書上も売上高に反映されますが、実際にはまだ未入金の状態です。上も売上高に反映されますが、実際にはまだ未入金の状態です。
取引条件にもよりますが、実際に入金になるのは11ヶ月から数ヶ月先ということになると、損益計算書上の売上額と手元の資金には差異が生じます。
もし、入金よりも先に仕入代金の支払いをしなければならず、それが運転資金入金よりも先に仕入代金の支払いをしなければならず、それが運転資金を超えてしを超えてしまったとしたら・・・「勘定合って銭足らず」という状況に陥り、利益が出ているはずなのに資金が足りないということになってしまいます。借入金の返済もできない、という事も考えられます。
■ 実際にはもう少し黒字倒産までの流れがある
「勘定合って銭足らず」が続けば理論上、黒字倒産になりますが、実際には経営者自身や経理・財務部門の人が数ヶ月先の資金繰り予測を立てることも多いですし、そこまでしっかりした資金繰り予測ではなくても、大体の流れは経営者が長年の経験で把握できているというケースもありますので、単なる「勘定合って銭足らず」で一時的な資金ショートと一時的な資金ショートというケースは実は実はそれほど多くはありません。
実際には次のような流れで黒字倒産になることが多いです。
■ 黒字倒産までの流れ
①経済環境の悪化、商品競争力の低下、競合他社の登場、増税などの影響で消費低下など、様々な要因により好調だった売上(販売)に行き詰まりが出てくる。
②しかし、ずさんな在庫管理などにより仕入れはそれまで通り継続する。
③その結果、売れない在庫だけが増えてしまう(過剰在庫)。
④過剰在庫状態になると資金が滞留し、運転資金不足状態になる。
⑤黒字決算ではあるため銀行から融資を受け、資金繰りを確保することができる。
⑥しかし、決算書で過剰在庫状態を金融機関に見抜かれ、融資のストップ、融資の引き上げをされ資金繰りが厳しくなる。
⑦決算書上は黒字でも資金ショートしてしまい、黒字倒産となる
■ 「黒字」という魔物
決算が黒字とそれだけ聞くと、普通は「業績が好調な会社なんだな」と思うはずです。しかし、実際には会計処理の仕方や利益の考え方などの関係で、黒字なのに資金が足りなくなるというケースは珍しくなく、冒頭にあるように倒産企業の約半数が該当します。
損益計算書上の利益は、売上高に対応する仕入在庫だけが売上原価として費用になります。
黒字だから安心という訳ではなく、むしろ業績が好調な企業の方がちょっとした変化に対応できず、急速に資金繰りが悪化して手を打てなくなることが多いのではないでしょうか。
■ 黒字倒産にならないために
どうすれば黒字倒産を防げるのでしょうか?
その一つの方法として、「会計データの活用」があります。
会計データというのは、日々の取引の内容が記録されています。言わば経営判断の材料となる情報が見えてくる宝の山なのです。試算表や決算書を作るためだけのものではなく、経営判断に役立ててこそ本領発揮できるものです。
経営者が会計データを使って自社の業績に向き合って、毎月の結果がどうだったのか確認し、どこに問題があり、どうすれば対策を打てるのか早めに判断する仕組み作りをすることが大切です。
少しでも売上アップができる方法を考えたり、無駄な費用が出ていないか、それは適正な範囲内なのかどうか、など、問題箇所の発見と対策検討の早期化に役立てられます。
そもそも手元の資金が減らない、むしろ増やせるようにコツコツ取り組んで行く。
もちろん、売上の入金をなるべく早くしてもらえる努力や、仕入代金の支払いを先の延ばす交渉をする、といったことも大切です。
人口減少や災害、世界経済など、経営状況を一変させるような外部要因は多々あります。好調だからと安心するのではなく、常に社員の雇用、顧客や地域社会への貢献などのために、会社を存続させるための経営努力をする。それが今求められている経営者の役割なのではないでしょうか。
そのために有効活用できるのが「会計データ」です。
会計データをどのように扱うのか、向き合うのかによって、自社の経営状況の改善や利益アップなど、様々な効果を生み出す可能性があります。
まとめ
・黒字倒産は珍しいことではなく、好調な企業にも起こり得る。
・経営者は黒字倒産にならないための努力をする必要がある。
・会計データを使うことで改善する可能性がある。
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