【税理士事務所の事業承継】M&Aとの違いと起こりがちなトラブルを解説

税理士事務所の事業承継

税理士事務所の事業承継は、早めの対策が必要です。
事業承継には、事業承継計画の策定や後継者の育成などが必要であり、それらを完了するまでは時間がかかります。
また11月から5月は、会計・税理士事務所の繁忙期ということもあり、なかなか計画が立てられないこともあるでしょう。そのようなときは、業務の負担を軽減するツールの活用もおすすめです。

この記事では、事業承継とM&Aとの違いを解説しつつ、事業承継時に発生しがちなトラブルについてもご紹介します。

会計・税理士事務所の事業承継をスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

事業承継とM&Aの違い

事業承継は「継承」と間違われやすいですが、継承とは身分・権利・義務・財産を受け継ぐことを指します。
一方、承継は地位・事業・精神を受け継ぐことです。
あまり細かく考えず、事業を受け継ぐのであれば「事業承継」と覚えておきましょう。

事業承継は代表者の身内が行うほか、社内に優秀な人材がいればその人が承継する場合もあります。
税理士・会計事務所は個人事業主であるケースが多いため、次期代表者選びは現在の代表者や内部の意向により決定することが多いようです。

さて、事業を受け継ぐには「M&A」という方法もあります。 M&Aとは合併・買収という意味です。事業承継と大きく異なる点は、「身内や社内・所内の人物が承継しない」「売却益が得られる」の2つでしょう。もちろん、事業承継が完了するまでの過程も違います。

事業を売却すれば売却益が得られますが、以前と同様のサービスをこれまでのクライアントへ提供できるとは限りません。
なぜかというと、サービスの提供方法は売却先にゆだねられるからです。

せっかくM&Aをしたとしても、以前のクライアントからこちらにクレームが入れば、今まで積み上げてきたものがなくなってしまったかのような悲しい気持ちになりかねません。
これまでの取引先に、引き続き良質なサービスを提供したいのであれば、売却先の対応などサービス品質をしっかりと検討する必要があるでしょう。

税理士事務所で起こりがちな事業承継問題

税理士・会計事務所は、専門・技術サービス業・学術研究のカテゴリに分類されています。
その承継と廃業に関して、日本政策金融公庫総合研究所が2019年に実施した 「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」 では、以下の結果が出ました。

・専門・技術サービス業・学術研究の承継決定企業は8.6%
・廃業予定企業は63.3%

承継が決定している企業の割合と比べると、廃業予定の企業の方が明らかに多いことがわかります。
事業を承継できずに、廃業してしまうのはなぜでしょうか?

親族や所内に後継者がいない

周囲に後継者がいないことも、事業承継問題ではよく取り上げられます。
日本政策金融公庫総合研究所が2021年8月に実施した 「子どもの事業承継意欲に関する調査」 では、学術研究・専門・技術サービス業の承継意欲は承継決定者が6.4%、後継予備軍が7.1%であるのに対し、無関心層は11.2%と多いことがわかりました。

事業の代表者であれば、知識やスキルが把握できて信頼できる親族や、所内の優秀な人材に後を継いでほしいと思うのは当然でしょう。
M&Aを行えば、これまでと同じ品質のサービスが提供できない可能性もあるためです。

しかしこの調査結果を見る限り、ほかの業種と比べて代表者の子どもの承継意欲はそれほど高くないと言えます。特に無関心層の割合は、全体で一番多いです。

税理士・会計士になるには資格が必要なため、「経験を積めば必ずなれる!」というものではありません。そういったことも、無関心層が多い理由でしょう。
後継者がいないという問題を解決するためには、なるべく早い時期から後継を育成することも必要です。

事業承継計画中に所長先生が亡くなった

一般的に会計・税理士事務所は、個人事業であるケースが多いです。 そのため、もし事業承継前に所長先生が亡くなると承継ではなく、廃業を余儀なくされるケースもあります。

税理士法人であれば代表が交代してもクライアントとの契約は解除されませんが、個人事業の場合は個人との契約という事もあり解除されやすいです。

この場合、後継者が新しく税理士・会計事務所を開業し、クライアントに契約を移すようお願いしなければなりません。 そうなるとクライアントに迷惑がかかってしまうため、速やかな事業承継が望ましいでしょう。

「税理士法人になれば契約が解除されず、スムーズに事業承継できるのでは?」 こう思った方もいらっしゃるでしょう。

税理士法人になるためには、税理士が2人以上在籍している必要があります。 もし親子2代でするのであれば、親が高齢になって亡くなってしまった場合、法人を解除しなければなりません。 解除して個人事業主となれば、「事業縮小」とマイナスなイメージを持たれてしまう可能性もあります。

新たに税理士を雇用すれば、法人として事業を続けられます。 しかし、税理士試験の難易度は高く合格率も低いため、求人を出してすぐに応募があるとは限りません。

税理士試験の受験者は年々減少しています。 ピーク時の2005年には56,314人が受験しましたが、2020年の受験者数は26,673人です。 また合格者数も減少しており人数が少ないため、自分の事務所に応募する確率は低いと考えられるでしょう。

法人になっても、こういったリスクがあるため、事業承継計画はなるべく早めに始めることをおすすめします。

仕事が忙しく事業承継問題に取り掛かれない

税理士の繁忙期は、一般的に11月から5月と言われています。
個人事業主の確定申告が毎年2月16日から3月15日にあり、決算が集中しやすい11月と5月も忙しいです。 さらに年末調整の依頼を受ければ、仕事が忙しくなってしまいます。

それに加えて、2002年の税理士法改正で税理士会の報酬規程が廃止され、税理士が独自で報酬規程を作成できるようになり、低価格を謳う事務所が増え、業界全体の低価格競争が発生しています。
低価格競争により、確定申告や決算業務などの通常業務に加え、他事務所と差別化を図り、事務所ならではのサービスを取り組んでいる事務所も多いのではないでしょうか。

そうすると、事業承継計画の策定や、後継者の育成と教育になかなか取り掛かれないでしょう。 会計事務所の事業承継では、このほかにも資産などの承継と個人保証・負債の処理が必要になるため、すぐに承継できるわけではありません。

つまり後継者がいたとしても、繁忙期が長く、業務で忙しいため事業承継がスムーズにできないといった問題もあるということです。

税理士事務所の事業承継問題は早めの対策が必要

先ほどもご説明したように、事業承継はすぐにできるものではありません。 特に税理士・会計事務所は繁忙期が長いため、事業承継計画の策定や後継の育成になかなか取り掛かれないこともあるでしょう。

これまで通りの記帳代行や確定申告、決算業務では、作業時間ばかり増え、報酬は価格競争で減少してしまいます。これからは先述の通り、 低価格競争のなか生き抜くために、将来を見据えた「付加価値業務」にも積極的に取り組むことが重要です。

付加価値業務というと顧問先企業への経営コンサル、経営計画の策定支援などがありますが、税理士事務所で取り組むには経営に関する知識、経験が必要で少しハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。

ところがYOJiTSUなら、税理士事務所の方でも簡単に始められます。YOJiTSUは企業の予実管理(予算実績管理)に特化したクラウドツールです。エクセルなどで予実管理を行うとかなりの作業時間が必要ですが、YOJiTSUなら前期データを送信するだけ!5分で予算作成が可能です。

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予実管理ツールの使用で本来手間のかかる作業負担を軽減

「YOJiTSU」は、予実管理に特化したシステムです。 会計ソフトを利用していれば会社に必要な売上目標を簡単に算出できます。

ほぼすべての中小企業が利用している会計ソフトと連動可能なため、スムーズに利用開始できます。
連動している特定の会計ソフトの導入を勧める必要がないため、クライアントに余計な費用負担をお願いする必要がありません。

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YOJiTSUなら予算と実績の比較も簡単に

一般的な予算というと、ただ単に前期売上に〇%の増加して…というイメージがありますが、会社が継続する為に必要な予算を考えると、借入金や償却資産も考慮する必要があります。

また、企業によっては予算作成したものの、その後何もせずに通常業務に追われてしまい、時間をかけて作った予算は引き出しに眠ったまま、実際に経営に活かせないという残念な話もよく耳にします。

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まとめ

・事業承継とM&Aの大きな違いは「身内や社内・所内の人物が承継しない」「売却益が得られる」の2つ
・繁忙期や問題を考慮すれば事業承継には早めの対策が必要です
・スムーズに事業承継を進めるためには業務負担を軽減するツールを活用する方法もあります

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電子帳簿保存法の改正は会計事務所にどう影響するか?顧問先への対応は?

電子帳簿保存法の改正は会計事務所にどう影響するか?顧問先への対応は?

改正電子帳簿保存法が令和4年1月1日から施行されました。今回の改正は電子取引のデータ保存が義務化されたことと、データ保存要件の大幅な見直しが大きな目玉です。
また、その後の令和4年度税制改正大綱では上記のデータ保存義務が2年間猶予(宥恕措置)され、対応が遅れていた企業にとっての、いわば「準備期間」といえるものが設定されました。

この記事では、電子帳簿保存法の概要と、改正が会計事務所にどのような影響を与えるか、また、顧問先へどのように対応すればよいかを解説してきます。

目次

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法(以下、電帳法)は、ひとことでいうと、「一定の要件を満たした場合、国税関係帳簿書類を電磁的記録(電子データ)で保存することを認める」ための法律です。会計業務のペーパーレス化や効率化、コストの軽減などを目的としています。

電帳法では、電子データの保存を「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3区分に分けています。

電子データで保存できる「国税関係帳簿書類」とは、国税関係帳簿(仕訳帳など)、国税関係書類(決算関係書類など)、電子取引を総称したもので、具体的には以下の書類や帳簿のことをいいます。

電子帳簿保存法

電帳法は、これまで何度も改正されてきた法律です。当初は適用要件をクリアするためのハードルが高く、多くの企業では電子化に消極的でした。しかし、令和4年1月1日に改正法が施行され、より電子化の導入がしやすくなりました。次の項目では、電帳法の改正内容などを解説します。

電帳法の改正内容

電帳法は、令和4年1月1日に改正法が施行され、電子取引で受け取った書類(データ)は、紙での保存ができなくなりました。

しかし、その後の令和4年税制改正大綱では、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの2年間、保存義務が猶予(宥恕)される措置が整備されました。

この項目では、改正後の電帳法と猶予措置(宥恕措置)について主に解説していきます。

改正内容①:電子取引のデータ保存が義務化

令和4年1月1日から施行された改正電帳法では、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」のうち、「電子取引」のデータ保存が義務化されました。

これまでは、インターネットやメールなど(電子取引)を介して授受した取引情報(請求書や領収書など)は、書面で出力して保存することが容認されていました。しかし、改正電帳法では、電子データを書面出力して保存することが認められず、取引情報は電子データのままで保存しなければなりません。

電子取引は、「取引情報の授受を電磁的方法により行う取引」と定義されており、 国税庁の電子帳簿保存法一問一答 では、例として以下のものがあげられています。


  • 電子取引の例
  • 1.  電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
  • 2.  インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)またはホームページ上に表示される請求書や領収書等の画面印刷(いわゆるハードコピー)を利用
  • 3.  電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用

電子データで保存しなければならない書類の例は下記のとおりです。なお、電子データは受け取り側と送付側の双方で保存しなければなりません。

電子データで保存するべき書類の例
・請求書
・注文書
・見積書
・契約書 など

改正内容②:保存要件の緩和

改正された電子帳簿保存法では、 「税務署長の事前承認制度」が廃止されたほか、「タイムスタンプ要件」と「検索要件」が緩和されました。

税務署長の事前承認制度(電子帳簿等保存、スキャナ保存)
改正前 電帳法を適用して保存を開始する3か月前までに税務署へ申請し、税務署長の承認を得る。
改正後 事前承認が不要となった(廃止)。
電帳法の要件に合致したシステムやツールを用意できれば、すぐに適用できる。
タイムスタンプ要件(スキャナ保存、電子取引))
改正前 書類をスキャナで保存する際、3営業日以内に受領者の自署とタイムスタンプを付与する必要がある。また、適正事務処理要件として、2名以上の従業員で作業を確認する必要などがあった。
改正後 ・自署が不要となり、タイムスタンプの付与期限が最長で約2か月とおおむね7営業日以内となった。
・要件(データの訂正・削除ができない、もしくは訂正・削除履歴を確認できるシステム等)を満たした場合、タイムスタンプの付与が不要。
検索要件(電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引)
改正前 ・取引年月日、勘定科目、取引金額など、帳簿の種類に応じて検索できること。
・日付または金額の範囲指定で検索できること。
・2つ以上の任意の項目を組み合わせた条件で検索できること。
改正後 ・検索のための項目が、取引年月日、取引金額、取引先に限定される。
・税務調査などの際、要請に応じて速やかにデータをダウンロードできる場合は、範囲指定と条件の組み合わせ検索機能が不要となる。

改正後の電帳法では、上記のような、準備や運用に手間のかかる手続きが大幅に簡略化されました。書類の電子化を推進している企業にとっては、取り組みやすい内容となったのではないでしょうか。

データ保存義務の2年猶予(宥恕(ゆうじょ)措置)

電子取引のデータ保存が義務化したことは、すでに説明したとおりです。しかし、その後の 令和4年度税制改正大綱 において、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置の整備」が明記され、データ保存の義務化が猶予される措置(宥恕措置)が整備されました。

これは、令和4年1月1日から令和5年12月31日に行われた電子取引のうち、「やむを得ない事情」がある取引は書面で保存できるという措置です。

ここでいう「やむを得ない事情」には、電帳法に対応するためのシステムや社内のワークフローを整えることが間に合わないなど、「電帳法の要件に従った準備が困難である」といったものが例としてあげられます。

宥恕措置を適用している場合、税務調査などで「やむを得ない事情」の内容を確認されることがあるため、電帳法の対応状況や今後の見通しなどを把握しておく必要があるでしょう。なお、宥恕措置の適用は、税務署への届け出などの事前手続きが不要です。

このように、電子取引のデータ保存義務について、宥恕措置により令和5年12月31日までに行う取引は、保存するべき電子データを印刷しておき、税務調査などの際に提出できるようにしておけば問題ないということになりました。

ただし、令和6年1月からは、電子データでの保存が必要になるため、猶予期間中に対応を完了させておきましょう。

電子帳簿保存法の改正による会計業務への影響

改正された電帳法が会計業務へ及ぼす影響には、どのようなものがあるのでしょうか。予想される影響を3点あげていきます。

業務フローの変更

電子取引のデータ保存が義務化されたことにより、これまでの業務フローを変更する必要がでてきます。
データの保存要件は緩和されましたが、現行の業務フローをそのまま採用することは難しいため、業務内容を洗い出し、電帳法への対応が必要となる部分を整理しておきましょう。

ペーパーレス化の加速

今回の改正により、電子データでの保存がしやすくなった一方、紙での保存ができなくなったことで、今後はペーパーレス化が加速すると考えられます。
紙ベースでの保存は、保管するためのスペースが必要で、書類の印刷コストも多くかかります。そのため、会計業務の生産性を向上させたい企業としては、紙媒体の取り扱いはできる限り避けたいと考えるでしょう。

テレワーク・デジタル化への対応

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、テレワークが急速に普及してきています。会計業務は請求書等の処理があるため、リモート化が難しいといわれていました。
しかし、電帳法が改正されたことをきっかけに、今後は会計業務の領域でもテレワークへの対応やデジタル化がすすむと予想されます。

顧問先への対応

法改正によってハードルが下がったとはいえ、電帳法対応の準備と実際の運用は手間がかかります。
よって、会計事務所と顧問先の連携が重要となります。「電帳法のことをよく知らない」という顧問先もいると予想されるため、対応する際は順序だててフォローしていく必要があるでしょう。

しかし、会計事務所と顧問先が電帳法へ適切に対応したとしても、業務フローの変更や慣れないシステムの導入などにより、本来の業務を行う時間が減少してしまうことが懸念されます。電帳法への対応に気をとられ、経営計画に直接影響する予実管理や資金繰り、売上分析がおろそかになってしまっては元も子もありません。
電帳法対応と経営に直接かかわる業務を両立させるためにも、効率化に秀でたシステムの導入を検討してみてもよいでしょう。

そこで紹介したいのが、クラウド予算実績管理システム「YOJiTSU」です。「YOJiTSU」は、自社の会計データを送信することで、会社の財務を「見える化」できるシステムです。

予算の作成が5分程度で可能なため、顧問先あたりの作業時間が少なくできます。また、RPA機能も備えられており、仕訳を取り込むだけで現状分析や傾向の分析が自動で作成されます。
さらに、クラウドで顧問先とIDの共有もできるため、リアルタイムでの情報共有が実現でき、テレワーク対応も可能です。
運用コストも、月額5,500円(税込)となっており、「はじめて予算実績管理システムを使う」といった方でも導入しやすい価格となっています。

電帳法の改正をきっかけに、会計業務の流れが変わろうとしています。今後は、デジタル化や効率化の加速が予想されるでしょう。
そのため、会計事務所も記帳代行ベースといった従来のサービスのみならず、経営支援をはじめとした新たな付加価値を創出し、他の事務所と差別化しなければ生き残るのが難しい時代になるといえます。

「YOJiTSU」には、顧問先企業に対して目標利益と実績の比較を提示することができ、企業の未来を見据えた経営支援に有用な機能が数多く備えられています。

これまで会計事務所が提供してきたサービスへ、さらなる付加価値を付与しながら効率化も図れる「YOJiTSU」を活用し、「選ばれる会計事務所」に向けて一歩踏み出してみませんか。

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インボイス制度は会計業界にどう影響する?

インボイス制度を徹底おさらい!会計業界にどんな影響がある?

令和5年10月1日からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されます。この制度はすべての事業者に関係し、事前準備もいろいろと必要で、会計業界に大きな影響を与えます。

この記事ではインボイス制度の概要をおさらいした上で、会計業界、特に会計事務所への影響を考えます。どのように顧問先へ対応していくか、必要な事前準備を洗い出し、インボイス制度の施行に備えましょう。

目次

インボイス制度のおさらい

インボイス制度の概要、開始時期などを簡単におさらいします。

インボイス制度の概要

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、「適格請求書(以下、インボイス)」を保存する制度です。登録を受けた「適格請求書発行事業者」のみがインボイスを発行でき、インボイスがないと原則として消費税の仕入税額控除ができなくなります。
そして「適格請求書発行事業者」になれるのは消費税の課税事業者だけです。

インボイスを発行するためには以下の要件を満たす必要があります。
・税務署に登録申請書を提出し、「適格請求書発行事業者」になる。
・要件を満たす請求書を発行する。要件は以下の図を参照ください。

適格請求書の記載事項
参考資料: 国税庁リーフレット

今までと違う点は以下の通りです。
・適格請求書発行事業者の登録番号を記載する。
・取引の「税抜価格又は税込価格」と「消費税額」の両方を必ず記載する。
・消費税額の端数処理が1請求書あたり税率ごとに1回である(請求書の項目が複数ある場合にはすべてを合計した上で端数処理をする)。

また例外として、小売業、飲食店業など不特定多数を相手とする事業を行う場合はインボイスの代わりに簡易インボイスを交付できます。しかし相手先名の省略など記載事項が少ないだけで、消費税の計算方法は変わりません。
バスや鉄道など適格請求書の交付が困難な取引は交付義務が免除されます。

インボイス制度はいつから開始か

適用開始時期は令和5年10月1日からです。この日以外にも制度に関連して重要な日付がありますので以下でまとめます。

(1)適格請求書発行事業者の登録申請

令和3年10月1日から申請受付がすでに開始されています。
令和5年10月1日から適格請求書発行事業者になるためには、原則として令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。

インボイス制度のスケジュール

(2)経過措置

インボイスがないと仕入税額控除ができなくなりますが、令和5年10月1日から全額ができなくなるのではなく、6年の経過措置があります。
・令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%
・令和8年10月1日から令和11年9月30日までは仕入税額相当額の50%
令和11年10月1日からは控除不可になります。

(3)免税事業者の経過措置

免税事業者が令和5年10月1日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者になる場合、適格請求書発行事業者となった登録日から課税事業者になる経過措置が設けられています。経過措置を受ける場合は、課税選択届出書を提出する必要はありません。

もし免税事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者になりたい場合は、他の課税事業者と同様に原則として令和5年3月31日までに登録申請書を提出すればよいことになります。
ただし簡易課税を適用する場合には「消費税簡易課税制度選択届出書」を登録日の属する課税期間中に提出が必要です。

また令和4年税制改正で、免税事業者が令和5年10月1日以降に適格請求書発行事業者になる選択をした場合でも、課税期間の途中の任意のタイミングで適格請求書発行事業者の登録を受けることができることになりました。

インボイス制度の対象

インボイス制度の対象は全事業者です。
ただし免税事業者はそもそも消費税を納付していないので、自社の仕入税額控除とは無関係です。よって自社ではインボイスを必要としません。

しかし免税事業者だと適格請求書発行事業者になれず、自社がインボイスを発行できません。このため取引先との今後の取引に影響がある場合があります。のちの項目でも詳しく記載します。

会計事務所への影響

考え事をしているビジネスマン

インボイス制度の施行にともない、会計事務所にもさまざまな影響が出てくるでしょう。
すでに令和4年10月1日から適格請求書発行事業者の登録申請が始まっており、顧問先の申請手続きの指導、代理申請に追われているかもしれません。

今後インボイス制度により、会計事務所の業務が影響を受ける点は以下となります。

(1)顧客への制度説明と制度への対応をする必要がでてくる。

次の 「顧問先への対応」 で詳しく述べます。

(2)適格請求書発行事業者の登録申請の指導あるいは代理申請をする必要がでてくる。

引き続き対応が必要になるでしょう。

(3)消費税の申告業務が複雑になるため、正確な帳簿付けの指導をする必要がでてくる。

消費税の計算上、「インボイス」と「インボイスではない(要件を満たしていない)請求書」を分けて計算する必要がある(※)のでその確認、また顧客への消費税の入力指導が必要になると思われます。

さらに経過措置によりインボイスではない請求書に対する仕入税額控除の金額が変化するので、申告時にはその対応も必要です。 今までよりも消費税申告に関する作業時間はかなり増えると推測されます。

※適格請求書を交付することが困難な以下の取引は、適格請求書の交付義務が免除されます。
①公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限ります。)
②出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡
(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
③生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡
(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
④自動販売機により行われる課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限ります。)
⑤郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

(4)消費税課税事業者が増える可能性がある。

インボイス制度施行にともない、現在免税事業者の法人、個人が適格請求書発行事業者、そして課税事業所になるケースが増える可能性があります。
このため消費税申告が必要な顧問先が増え、消費税申告の業務が増えることが推測されます。

顧問先への対応

インボイス制度は消費税の申告金額に大きな影響を与えますので、確実に要件を満たすとともに、さまざまな判断を誤らないように顧問先へ注意喚起をする必要があるでしょう。
具体的に会計事務所が顧問先へ対応しなければならないと思われる事項をまとめます。

(1)インボイス制度の説明

まずはインボイス制度を理解してもらうことが必要です。個別対応だけでなくセミナーなどを検討する場合も多いでしょう。

(2)課税事業者に対する対応

①適格請求書発行事業者の登録申請の指導
現在すでに課税事業者の顧問先には、適格請求書発行事業者の登録申請の指導をすることになるでしょう。申請によるデメリットはありません。

②請求システムの確認
実際にインボイスが作成できるか、システムが対応するかを確認する必要があります。

インボイスは前述したようにさまざまな要件を満たさねばなりません。
以下に再掲します。
・適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
・ 課税資産の譲渡等を行った年月日
・ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産 の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
・ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及 び適用税率
・ 税率ごとに区分した消費税額等
・ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

今までの請求書から追加する事項があるため、請求書システムの改修が余儀なくされるでしょう。

またインボイス制度では、請求書に複数品目がある場合に「品目ごと」に消費税を計算するのではなく、「請求書ごとの合計」で消費税を計算します。

今までは計算方法の規定はなかったので、現在品目ごとに消費税を計算するシステムになっている場合は基幹システムそのものを大幅に変える必要が出てくる可能性もあります。
顧問先がインボイス発行にシステムが対応できるかどうか、確認しておく必要があるでしょう。

③取引先の確認
インボイス制度施行により、インボイスがないと仕入税額控除ができなくなります。このため自社の仕入、経費の発注先からもらう請求書がインボイスの要件を満たさないと消費税の納付金額が増えることになります。

このため取引先が免税事業者と思われるところを洗い出し、今後適格請求書発行事業者になる予定があるかどうかの確認、ならない場合には取引金額や取引条件の相談をするか、もしくは取引先を変更するかどうかの確認など、顧問先に注意喚起をしていくことが必要です。
特に外注先に個人事業主が多いところなど、影響の大きいところは早めに検討する必要があるでしょう。

制度開始までに必要な準備

以上のように制度開始までには顧問先にはさまざまな準備をしてもらわねばなりません。
まとめると以上のようになります。
・適格請求書発行事業者の登録申請。
・仕入先からインボイスを入手できそうか検討。
・得意先からインボイスの要請、値下げの要請があるかどうか検討。免税事業者から課税事業者になるべきかの検討。
・システムの準備。


特に費用と時間がかかるのがシステムの準備です。思わぬコストがかかることもあるので早めに検討して費用を見積もっておきましょう。
令和3年度補正予算案では、IT導入補助金(中小企業庁リーフレット参照)などインボイス制度対応に備えた費用に対して補助金予算がついています。活用できるものがあれば検討してみましょう。

ITツールで業務効率化の検討も大切

以上のようにインボイス制度施行で今後も数々の対応に追われるかと思います。顧問先への対応だけではなく、事務所内でも勉強会や運用フローの見直しなど、やらなければならないことが沢山あります。

インボイス制度施行に対応するには、まず他業務の効率化を行い、インボイス制度に割く時間を確保することが重要です。
たとえば、顧問先の経営分析にどのくらい時間がかけていますか?1社ごとの資料作成や経営分析の時間が短縮できないか考えたことはないでしょうか。

クラウド予実管理システム「YOJiTSU」は、会計データを取り込むだけで、カンタンに財務分析資料を作成できます。
RPA機能が搭載されているので、最大100種類の分析資料を自動作成できるので、顧問先の分析資料を作成する時間を短縮することが可能です。

また、フルクラウドなので、どこからでも最新の数字をアクセスできるのもポイントです。顧問先だけでなく会計事務所からも同じデータを同時に確認し、補足説明や報告ができます。

便利なツールを活用しながら、顧問先の経営管理サポートのクオリティを下げずに、さまざまな制度改正の影響に対応していきましょう。

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2022年5月9日(月) 19:00 ~ 21:00 予定