売上アップではなく利益アップを考える

売上が落ちてきた。20%OFFのセールを行って巻き返しを計ろう。

…企画会議などでよくある話かと思います。売上を伸ばす事は重要ですからある意味では正しいですが、気を付けないといけません。本当に儲けが出るのでしょうか。値引きにより売上アップを行う場合、何個販売すれば利益が出るのかも併せて考える必要があります。

なぜ資金繰りが苦しいのかイメージ


   売上 = 商品単価 × 販売数

ですが、売上には仕入や製造にかかる費用(変動費)がかかるので、いわゆる”儲け”である粗利益(限界利益)は売上から変動費を差し引いたもので、

   限界利益 = 売上 - 変動費

となります。この限界利益を増やすのが目的という事を注意しておきましょう。
例えば、パン屋さんのケースを考えてみましょう。

食パン1斤を300円で売っているとします。食パン1斤に対する変動費を200円とすると 通常、1日に100個売れたならば、

   1日の売上は  300円 × 100 = 30,000円
   1日の変動費は 200円 × 100 = 20,000円

限界利益は…

   30,000円 - 20,000円 = 10,000円

1か月で20日間販売した売上は

   30,000円 × 20 = 600,000円

1か月で20日間販売した限界利益は

   10,000円 × 20 = 200,000円

1か月で20万円の利益がありました。
では20%OFFにしてパン1斤を240円で販売し、200人に売れたとします。

   1日の売上は  240円 × 200 = 48,000円 売上アップ
   1日の変動費は 200円 × 200 = 40,000円

限界利益は…

   48,000円 - 40,000円 = 8,000円 利益ダウン…

1か月で20日間販売した売上は

   48,000円 × 20 = 960,000円

1か月で20日間販売した限界利益は

   8,000円 × 20 = 160,000円

20日間で比較すると

売上は、360,000円アップしましたが、
限界利益は、40,000円ダウン

20%OFFセールを行っても、食パン200斤では利益アップに至らないということです。販売数が2倍となり、頑張って売ったのに利益が届かない…のは何ともやりきれませんね。

割引セールを行う場合は、目標の販売数を予測し、通常よりも利益を出せたのかをチェックすることが重要です。販売数がアップし売上アップだけをみて喜んではいられないのです。セールやキャンペーンなどを企画する際は売上だけでなく利益も予測して検討するべきだという事を覚えておいてください。



■ 値引きセールはしない方が良い?

値引きセールを行う事が悪いわけではありません。定価で販売した場合と比較すると利益が少ない場合があることを理解しておくべきということです。値引きセールをチラシなどで集客することで新しい顧客を獲得出来たり、離れていた顧客も戻すといった効果もあるので一概に値引きが悪と判断するのも早計です。

注意点として、値下げには必ず理由を付けておきたいです。期間限定、数量限定、賞味期限、お試し価格…などなど。こうしないと単純に単価を下げることになり、お客の質も下げることになります。値下げセールが定着して値下げした値段でしか売れなくなってしまうからです。できる事なら値下げはせずに品質の良さをアピールして値上げする方が利益が出ます。



■ 利益アップする為に必要な事

利益アップする為に必要な事イメージ

利益アップを考えたときにどうすれば良いでしょうか。
単純な値上げ…をする場合でもそのまま販売できませんよね。例としてプリンを考えてみましょう。

通常100円のプリンを200円で販売するとしましょう。100円は「おいしいプリン」という商品名で、200円は「希少!烏骨鶏卵の新鮮とろけるプリン」と並んでいたらどうでしょうか。200円のプリンの方が売れるかも…と思いませんか?

「な~んだそんな事か」と言われそうですが、元々100円で販売していたプリンも、本当に烏骨鶏卵を使用していたとしたらどうでしょうか。

「そんな勿体ないことをする訳ない」と思われますか?
実は烏骨鶏のプリンを100円で販売するような、商品価値を上手く伝えきれていないケース、結構多いのです。確かに烏骨鶏の卵プリンを100円では売らないかもしれませんが、自社の商品に置き換えて考えてみてください。安い価格で販売していませんか?しっかりと品質を伝えられているでしょうか?

ちょっと、自信を持って伝えられているとは言いにくいのではないでしょうか。
商品価値をしっかり伝える事は難しいです。商品の良さをアピールする、別のものと組み合わせる、セット商品にしてみるなどなど価値を高めるアイディアは多くありますので、いろいろと試行錯誤してみるとこれまでの商品の中から新しい価値の商品が生まれるかもしれません。



まとめ

・売上アップの為の値下げセールは利益を確認する
・値下げセールは集客として活用し必ず理由を付ける
・商品価値を明確に伝えて値上げする方が利益アップに繋げやすい

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